皆さんこんにちは!あしにゃんことアシリカです!
華やかに見えるエンターテインメント業界、あるいは世間を賑わわせる最先端のスタートアップ企業。
その舞台裏では、日々多くの新規事業や組織が立ち上がっては消えていきます。
成功を収める組織がある一方で、優れた人材を集めながらも、跡形もなく空中分解していく組織にはどのような共通点があるのでしょうか。
今回は、とある新規立ち上げ組織において、現場スタッフと経営上層部との間で行われた「1本の面談音声データ」をケーススタディとして取り上げます。
メンバーが本来の業務に集中できず、大人の都合や不信感に振り回されていく生々しい実態。
これを単なる
「芸能界の特殊なトラブル」
として片付けてはいけません。
ここには、一般企業の経営者、人事、マネージャー、そしてチームリーダーが今すぐにでも警戒すべき
「組織崩壊の典型的なシグナル」
がすべて詰まっています。
組織の黎明期に数々の歪みを正し、次世代が勝てるための土壌を耕してきた筆者(アシリカ)の視点から、この問題の本質をビジネス・マネジメントの観点で徹底解剖します。
※プライバシー保護および機密保持のため、登場人物や組織などの固有名詞はすべて伏字・仮名としています。
このお話の大まかなあらすじ
舞台は、新規に設立されたとあるプロジェクト(新規事業・アイドルグループの立ち上げ)。
現場には、一般公募から選ばれたポテンシャルの高いメンバー(実務担当者)たちが集められ、初期のプロデュースおよび現場管理の全権は、カリスマ性とこだわりを持つ責任者・プロデューサーの「A氏」に一任されていました。
しかし、プロジェクトの本格始動(プレデビュー)をわずか2週間後に控えたタイミングで、
A氏が突如「辞める」と言い残し
引き継ぎも行わないまま現場を放棄します。
現場のメンバーや運営スタッフは、それまでA氏から
「予算が通らない」
「上が動いてくれないから、進捗が遅れている」
と説明されていたため、上層部に対して強い不信感を抱いていました。
事態を重く見た経営上層部の「B氏」が、混乱する現場スタッフやメンバーと緊急面談を実施したことで、驚くべき事実が発覚します。
B氏側の主張によれば、
「A氏からそんな相談は一度も受けていない」
「毎日顔を合わせているのに連絡が途絶えていたのはA氏の方だ」
というのです。
面談が進むにつれ、A氏が意図的に上層部と現場の間に
「情報の壁」
を作り、自らの不手際を隠蔽するために現場を扇動していた疑惑、そしてデビュー2週間前としては致命的な準備不足(成果物の大幅な遅れ、勝手な発注によるクオリティの著しい低下、支払いの滞り)が次々と浮き彫りになっていきます。
結論:組織の死は「情報のブラックボックス化」から始まる
この事例から導き出されるビジネス上の結論は非常にシンプルです。
「マネージャーの自己満足による情報のブラックボックス化と、上層部のガバナンス放棄が重なった組織は、どれだけ優秀な実務担当者が揃っていても必ず現場から崩壊する」
プロジェクトの立ち上げ期において、現場を率いるリーダーが
「自分のやりたいこと」
「自分が得意な領域」
だけに情熱を注ぎ、都合の悪い報告や基本業務(スケジュール管理、コスト管理、上層部への進捗共有)を怠ることは、ビジネスにおける致命傷となります。
さらに最悪なのは、自らのマネジメント不足を
「会社の理解がないからだ」
とすり替え、部下を扇動して上層部への不信感を植え付ける行為です。
このような内紛状態に陥ったチームは、外に向かって成果を出すエネルギーを失い、内部崩壊を待つだけの「泥舟」へと変貌します。
理由:リーダーがプロジェクトを機能不全に陥れる4つの大罪
なぜ、この新規プロジェクトはここまで致命的な状態に陥ってしまったのか。
一般企業にもそのまま当てはまる
「4つの問題点」
を深掘りします。
中間管理職による情報の私物化と「深刻な内紛」
責任者であるA氏は、現場と上層部を繋ぐ唯一の「窓口」であることを悪用し、情報を完全にブラックボックス化していました。
現場には「上が動かない」と嘘を吹き込み、上層部には「現場は順調です」と虚偽の報告を上げる。
これは、自分のポジションを守り、現場をコントロール(囲い込み)しようとする未熟なマネージャーが最も陥りやすい罠です。
結果として、誰も真実を知らないまま、直前になって致命的な決裂を迎えました。
期日直前における「絶望的な進捗管理」とコストの不透明さ
プロジェクト始動の2週間前にもかかわらず、必須となる共有事項(課題曲・仕様書)の共有が前日まで遅れ、成果物のクオリティが間に合わないために上層部が
「70%の出来でやればいい」
と妥協する始末。
さらに、上層部への確認なしに独断で発注した成果物(衣装)は、クオリティが低すぎてトップ(会長)から却下されるなど、ガバナンス(企業統治)が全く機能していません。
現場での支払い(スタジオ代の未払い疑惑)の滞りは、資金がショートしているのではなく、管理者の「報告不足」によって会社が決済を出せなかったという、お粗末な事務処理能力の低さが原因でした。
実務担当者を「生かさず殺さず」とする、上層部の冷徹な本音
一見、残されたメンバーの味方をして優しい言葉をかけているように見える上層部のB氏ですが、その本音には組織マネジメントとしての冷酷さと諦めが漂っています。
「生かさず殺さず、都合よく売上を出せばいい」
「どうせ途中で何人か辞めるだろうから補欠を作っておく」
といった発言は、人材を
「使い捨てのパーツ」
としてしか見ていない証拠です。
また、
「最初から目標(200人の集客)なんて達成できるわけがない」
と、プロモーションの失敗をハナから受け入れている姿勢は、一見プレッシャーを与えない優しさに見えて、その実、経営陣としての戦略と努力の放棄に他なりません。
トラブルすら「炎上商法(コンテンツ)」にしようとする経営姿勢
最も恐るべきは、プロジェクトの失敗やプロデューサーの夜逃げ、現場の涙という
「ガチの組織トラブル」
を目の当たりにした経営陣が、それを反省・改善するのではなく、
「ノンフィクションのドキュメンタリー番組としてネットに流せば楽にバズる(注目を浴びる)」
と目論んでいる点です。
根本的なバックアップ体制の不備を棚に上げ、現場の混乱すら消費しようとする姿勢は、企業の社会的信用を失墜させる極めて危険なムーブです。
どうすればこのようなトラブルを防ぐことができたのか?
新規事業・スタートアップの黎明期において、こうした悲劇を未然に防ぐために導入すべきだった施策は以下の2点です。
「情報の一括管理」と「多角的なコミュニケーションパス」の義務化
音声内で、現場スタッフが
「1時間でできるスケジュール調整に5日かかっている」
と嘆いていたように、
特定の担当者(A氏)に窓口を一本化しすぎたこと
が最大の敗因です。
業務のタスク(ToDo)やスケジュールは、Googleスプレッドシートやタスク管理ツールを用いて、
「上から下まで全員がリアルタイムで一括閲覧・編集できる状態」
にしておくべきでした。
さらに、中間管理職を通さない、定期的な
「経営陣と現場スタッフ(実務担当者)の直接的なライン(1on1や目安箱)」
を設けることで、嘘や滞りは一瞬で見抜くことが可能になります。
「キッチンタイマー精神」による、徹底的なタイムロス削減とコストの可視化
立ち上げ期の組織に圧倒的に不足しているのは
「時間に対するシビアな感覚」
です。
私が過去にワンオペで現場運営を再建した際は、ダラダラとした時間経過を防ぐため、メンバー各人に
「物理的なキッチンタイマー」
を導入し、業務の時間を徹底的に可視化・コントロールしました。
それと同時に、
「どれだけの成果(数字)を出せば、自分たちの理想の環境(給与や待遇)が手に入るのか」
を、エクセルを用いたロードマップでメンバーに明示しました。
大枠の予算管理と現場の進捗を数字で連動させ、オープンに共有すること。
これだけで、現場の不信感や
「お金がないのではないか」
という根拠のない焦燥感はすべて解消されます。
この内容から得られる教訓
「余計な心配(大人の事情、不信感、不透明なお金)を現場にさせている時点で、そのマネジメントは三流である」
実務担当者(今回のケースではアイドルたち)が純粋に自らのスキルアップ(歌やダンスの練習)に集中すべき時期に、
「会社のトップが誰を邪魔しているか」
「スタジオ代が払われているか」
「明日までにこれをやれと言われた」
といった
組織の歪みのシワ寄せ
を考えさせている時点で、ビジネスの土壌としては完全に崩壊しています。
優れたリーダーとは、強権的に「俺を信じてついてこい」と部下を縛る人間ではありません。
現場の雑音をすべてシャットアウトし、可能性を信じ、
共に歩むための明確な指針(ToDo)を淡々と提示できる人間
です。
逆境を乗り越える力(レジリエンス)は、大人の泥沼劇を見せることで培われるのではありません。
「クリアな環境で、徹底的に成果に向き合った経験」
からしか生まれないのです。
この内容を風化させないようにするために必要なこと
こうした組織の崩壊劇を
「よくある話」
「エンタメ界のドタバタ劇」
として風化させてはなりません。
私たちはこのケーススタディを、自社の
「リスクマネジメントの教科書」
として刻む必要があります。
特に、経営陣やマネージャー層は以下のチェックリストを定期的に見直してください。
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部下から「〇〇さんがこう言っていたのですが、本当ですか?」という、人づての確認が増えていないか(仲介のバイアスが発生していないか)
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プロジェクトの進捗報告が、具体的な数字や成果物ではなく「頑張っています」「上手くいっています」という主観的な言葉だけになっていないか
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トラブルが発生した際、根本原因の解決(仕組みの改善)よりも、それをどう言い繕うか(表面上の取り繕い)に終始していないか
組織のほころびは、常に小さな
「報告の滞り」
から始まります。
まとめ
今回のケーススタディの核心は、音声の最後にあった現場の女の子のこの一言に凝縮されています。
「なのにそれ以外のことをめちゃくちゃ考えてしまって、そういうこと考えさせる事務所ヤバくね?って思っているんですよ」
現場にここまで言わせてしまう組織は、客観的に見て「泥舟」と言わざるを得ません。
実務担当者が「自分の仕事」以外のノイズに脳のキャパシティを奪われている組織が、市場で勝てるはずがないのです。
新規事業の立ち上げ期(ゼロイチ)や、組織の変革期という「黎明期」にこそ、大人の自己満足や感情論で走るリーダーではなく、システムとして機能するクリアな土壌(礎)を耕す人間が必要です。
あなたが率いるチームは、メンバーに「余計なこと」を考えさせていませんか?
今一度、組織の風通しとガバナンスを見直してみるタイミングかもしれません。

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